一文字違えば大きく変わる 「聞く」と「聴く」を考える

テレビや新聞などで、「●●に対する公聴会が行われました」「■■へのヒアリングが行われました」などと言ったニュースが流れることは多いです。これらが「同じもの」として考えていらっしゃる方もあるでしょう。

「公聴会」で使われている「聴」の字を訓読みにして、送り仮名も付けると「聴く」ですね。英語で言えば “listen” ということになるでしょう。

一方「ヒアリング(hearing)」の元となるのは “hear” …つまり「聞く」です。音としては同じ「きく」ですが、文字で見たり、用途を考えたりすると、違う意味を持つことに気付くでしょう。

私が学生だった頃、「ヒアリングテストなんてことをしている教員はおかしいし、そもそもそのようなテストなど出来っこ無い」と断言される先生がいらっしゃいました。私もその通りだと思いました。

先にも触れた通り、”hear” は「聞く」です。「聞こえる」と言えば、その人が意識しなくとも音が耳に入る状態を指します。何かの音が聞こえているかどうかを試験するというのは、おかしな話でしょう。

確かに、健康診断でも「聞力検査」なんて言いませんし、「聞力」という言葉も無いでしょうね。実際には「聴力検査」と言います。

もし、試験として「その人が何を言ったのかを聴き取ってください」と尋ねたいのであれば、「リスニング(listening)テスト」と使うべきでしょう。「聴く」には「意識して(注意深く)」という要素があります。

そのように考えると「公聴会が行われました」には、真剣さが伝わるのですが、「ヒアリングが行われました」となれば、話半分で捉える程度なのかな?とも思えるのです。

カウンセリングやセッションの世界では「傾聴(けいちょう)」が大事になります。ここでも「聴」の字を使っています。意識(注意)して「聴く」ことや、相手に寄り添って「聴く」ことなどが求められます。

音では同じ「きく」でも、「聞く」と「聴く」は全く違うものです。かつて、上述の先生は「世の中には全く同じ意味の言葉なんて無い」とも話されました。「聞く」と「聴く」は、その典型でもあるでしょう。

私もカウンセリングやセッションを行う身として「聴く」姿勢を大切に日々活動していきたいと考えています。