話題の「UD書体」は正しく使って初めて機能する その2

前回は今話題の「UDデジタル教科書体」を中心に、UD書体(UDフォント、ユニバーサルデザインフォント)について綴りました。正しく使わないと折角の良さも損なわれることもまとめています。

話題の「UD書体」は正しく使って初めて機能する その1
https://ruon.info/blog20191030

しかし、UDデジタル教科書体に限らず、UD書体を使った印刷物やウェブサイトなどが増えてきています。「UD FONTマーク(以下: マーク)」も目にする機会が増えました。

このマークは最近、テレビコマーシャルでも見かけます。テレビの画面を撮影したので写りは良くないですが、写真は自動車保険で知られるチューリッヒ保険会社のものです。

画面の右下隅を見ると、マークがあります。”by MORISAWA”とあるので、「このコマーシャルの文字にはモリサワのUD書体が使われている」ことを表しています。

流穏の部屋でも、UD書体を使った印刷物に対して「マークを入れてほしい」という依頼を受けることがあります。しかし、マークを使う際の「要件」には気をつけたいものです。

今回のマークは「UD書体」と名が付くものであれば絶対に使えるというものではありません。あくまでも「マークの利用に賛同したメーカーのUD書体を使った時」に限られるのです。

2019年10月現在、賛同メーカーは株式会社モリサワ、株式会社SCREENグラフィックソリューションズ、株式会社タイプバンク、株式会社モトヤ、株式会社リムコーポレーションの5社となっています。

言い換えれば、この5社以外のUD書体を使っても、マークの使用は認められないということになります。実際に使った書体がどのメーカーのものか、しっかり確認しておきましょう。

マークの利用ガイドラインを見ると、各社ともに「制作物の主な部分または全部にUD書体を使用した場合にマークを使用できる」といった旨が綴られています。

成分表示や料金表などの部分的に使った場合には、マークと共に該当箇所を指して所定の説明文を加えるのが良いとされています。何行にもわたる文章の数文字をUD書体にした程度で、マークを使うのは感心しません。

尚、説明文についても決まった様式があり、改変は禁じられています。当然のことながら、この説明文も賛同メーカーのUD書体で示す必要があります。マークの大きさにも規定があります。

さて、賛同メーカーのUD書体を使った場合、1社の書体だけを使ったのであれば”by (メーカー名)”の字が入ったマークが使えますが、2社以上の書体を使った場合には、メーカー名が入らないマークを使います。

1社の書体しか使わない場合でも、制作物の性質からメーカー名を外した方が良い場合や、本来必要なマークの大きさを確保出来ない場合には、メーカー名の無いマークを使うことが推奨されています。

マークや利用ガイドラインは賛同メーカー各社で用意され、例えばモリサワでダウンロードすれば”by MORISAWA”、タイプバンクであれば”by TypeBank”のマークが手に入ります。

SCREENグラフィックソリューションズだけは社名ではなく、”by HIRAGINO”となります。「ヒラギノ」と名の付いたフォントをご存知の方も多いでしょう。

ここまで綴る中でも、規定の多さに驚いた方もあるかも知れません。しかし、前回も綴った通り、正しく使ってUD書体の良さを活かすための「配慮」が大事であるとも言えます。

以前、マークが妙にガタついた状態の新聞折込チラシを見たことがあります。文章全体はUD書体と分かりましたが、不自然なマークは他の印刷物からの無断使用も疑われるだけに、最後まで丁寧に取り扱うべきだったと考えます。

UD書体で見やすさや読みやすさを追求することを悪いとは思いません。しかし、それ以上に大事なものがあります。それは「制作物の中身」です。伝えたいことを読みたいと思わせる中身が大切です。

それが伴って初めて、UD書体は本来の役割を果たしてくれるのではないでしょうか。